todayは抹茶茶椀祭りと参りましょう。
この茶椀表面に現れている独特なテクスチャーを
“かせ胡麻、メロン肌”などと言います。
簡単に言うと、灰が完全に溶けていない状態です。
“胡麻”は完全に溶けた状態。(別の写真を参照)
メロン肌とは、斬新な響きですが実に的を射た表現ですよね。
どちらかというと、玄人好みの景色かもしれません。
完全に素地と一体化していないので、使用状況によっては剥離する場合がありますが、
これはこれで胡麻剥げといって趣深いものとして茶人などには珍重されるという、なんとも日本的な楽しみ方を孕んだ景色であります。
こ れ が、“胡麻”です。
もしかしたら、世間的に備前と言えばこれという、オーソドックスな景色なのかもしれませんね。
先ほど紹介した、かせ胡麻とは同じ灰には見えないかもしれませんが、同じものです。
灰とは、燃料である赤松の割木の灰のこと。
それが高温で解けると、このような胡麻を振りかけたように黄色や茶色になって現れます。
この量が多く、滝のように流れているものを“流れ胡麻”と言い、これまたお値段が上がるとか、上がらないとか…。
緋襷界のメタリック オブ ザ イヤー受賞です(当社比)。
“緋襷(ひだすき)”は、もう皆さんもよくご存知かと思いますが念のため。
稲藁を巻いた跡が緋色に発色し模様になった景色を言います。
稲藁の模様だけを残すため、他の灰が一切被らないように、さやというものに蒸し焼きの状態で焼きます。
この茶碗は、いわゆる“緋襷”とはまた印象が違います。
おそらく少し還元状態(酸素が少ない)で焼かれたため、藁の模様が金や銀を帯びたメタリックな輝きをしています。
電気窯で焼くとほぼ毎回同じ色(肌色地に赤い模様)が出るのですが、
薪を使う本窯では、「絶対」という保証がなく、焼いてみないと分からないのが面白い所です。
酸素濃度、水分量の変化、置く場所によってこのような多様な景色が生み出されます。
今回一番紹介したかった茶碗がこちら。
こ、これは…!!(ゴクリ)
と実物を見たら絶対に言いたくなる景色。
胡麻とカセ胡麻、緋襷も入ってますね。
実は先ほどのメタリックな緋襷の茶碗の2倍の値段がします。
良い土を使い、焼きにこだわらなければここまでの藁の模様は出ません。
電気窯の緋襷ばかり見慣れていて、緋襷というもの自体安っぽくて嫌いだという方がたま〜にいらっしゃいますが、
この実物を見たらそんな考えも吹き飛ぶのでは?
地色の青白さ、緋色の深み、
分かる人には、一目でその違いがわかる緋襷です。