窯出しが終わりました!
今回は“登り窯”ではなく“角窯”。
文字通り四角い形をした窯です。6月には登り窯(大窯)を焚く予定ですので、乞うご期待!
臨時で焼いたため、これといって珍しいものや新作は出ておりませんが、
折角の機会ですので、これから数回に分けて、製造工程や焼き色の出し方などについて詳しく説明していこうかと思っています。
花の名前よりも、そういうことが知りたかったんだよ!というお客様、大変お待たせいたしました。
今回は「灰かぶり」という景色がどのように作られるのか、ご紹介します。
↑こちらは窯出し直後の作品の様子。なにやら黒いものが沢山こびり付いています。
窯出ししたらすぐに商品になるわけではないんですね。
このこびり付いた灰をヤスリをかけて丁寧に落とし、洗い、水試験(水漏れチェック)などをします。
今回は横に寝かせて焼いていないので比較的取り出しやすかったのですが、
溶けた灰で作品同士がくっついてしまい、剥がす際にキズができる場合があります。
また、窯の中でもこの景色がとれる場所が限られているということもあり、他の景色に比べると高額な商品になります。
↑ヤスリをかけて洗い終わったもの。
黄色くツヤのある部分と、紫がかったザラザラした部分がありますよね。
これは、窯を焚くときの燃料である赤松の灰が完全に溶けきって定着しているか、そうでないかの違いからくるものです。
美しい紫色が掘り出したばかりの天然石を思わせます。本当に不思議な現象ですね!
この景色は、焚き口付近で焼かれるため、空気の流れが激しく、灰が積もっては流れを繰り返します。
その過程で溶けるものと、溶けきらず付着するものとがあるわけです。
ザラザラしているからといって、ヤスリで綺麗に削ぎ落としてしまっては景色としての面白みが無くなりますから、加減が重要です。
ここに失敗や汚れではなく美しさを見出すのは、日本独特の美意識かもしれませんね。
先ほど「寝かせて焼く」と言いましたが、横に倒して焼くと下の面は直接火や灰に触れず、赤みを帯びた独特な模様が出来るため、意図的にそういう焼き方をする場合があるのです。
↓写真を見ていただくと、赤く丸い模様がありますが、それがこの現象。
備前の伝統焼成であり、備前焼ならではの景色を作り出すのに赤松の割木は欠かせません。
釉薬を使わない焼き物ですので、色柄を決めるのは窯焚きが全てと言っても過言ではないのです。
ガスや電気を燃料にする窯では、できる景色と出来ないものがあります。
お店で作品を見比べたとき、「この値段の違いは何だ?」と不思議に思われることもあるのでは?
焼き色、製法、土の種類、希少性、使用している窯の種類(燃料)、コスト、と理由は様々。
機会がありましたらぜひその違いを聞かれることをオススメします。
可能なら、自社の作品を販売している窯元や、作家本人(作り手)に聞くのがベストです。
ふひゅ〜。
珍しく中身のある投稿したぜ!ということで、これにてお開き。
ご清聴ありがとうございました。
また次回をお楽しみに☆